ううん。

いかんいかん!

出し惜しみしてる場合じゃないよ。

これからどうなるか分からないんだから。

それにお腹がすいてちゃ、いい考えなんて浮かばない!

どうしても、最悪の状況のことばかり考えてしまう。

意を決すると、私はスックと立ち上がる。

「佐久間主任!ツイてますよ!私、今日、お弁当を作って来たんです。
食べましょう、一緒に」

「弁当?!なんでまた……?君、いつも給湯室でカップラーメンを作ってすすってたじゃないか」

「今日は……そう、今日は、何となくですが作って来たんです」

「何となくって?」

「いいじゃないですか、細かいことは!とにかく食べますよ。ペンライト、ライトオン!」

「それを言うなら、『turn on』とか『switch on』とか言うべき……」


流暢な英語で突っ込みを入れる佐久間主任。


「ゴニョゴニョ言わず、とっとと点けて下さい!私一人で食べちゃいますよ!」


慌てた佐久間主任が急いでペンライトを点けてくれる。


ライトの下、芸術品(←自分で言うな)クラスのお弁当が浮き上がる。


「すげっ……」


まんまる目玉の佐久間主任がごくっと唾を飲み込む。