もしやっ!

急いで、ケータイを鷲掴み、「もしもし!」と返事を返す。

「元気か?」

ああ……

やっぱ、これ!

この声!


素っ気ない3文字の言葉の中に、いつの間にか恋人っぽい親密さが混じるようになった課長の声に、ちとメロメロ~となる。


「はい。元気ですよぉ~……」


返事を返しながら、手元にある整理しかけのアルバムに目を落とす。

この半年、色々あったんだ。

ふみねぇは結局、大垣(あ、お見合い君ね)と1週間前にゴールイン!

めでたく教会の鐘を高らかにブチ鳴らした。

田吾作は、「実はおいら、ゲイなんだぁぁぁ!!!」とふみねぇの披露宴で酔った勢いで派手にカミングアウト。

父ちゃんはその日、ナミダナミダで村長さんと新作フラダンスの腹踊り。


しみじみ~と感慨に浸ってしまっていた私に「ん?どうした?」なんて、課長の心配そうな声がケータイから心地よく聞こえる。



うふふ~。

恋人じゃ~。



「いいえ、何でもないです。あと、もう1週間したら、会えますね」

「そうだな」

「早く会いたいです」

「そうだな」

「課長、適当にアイヅチ打ってませんか?」

「そうだな」


もうっ!!

仕事しながら、電話しているのがバレバレだぞ!


ひどいよ、課長。

勝負下着だって用意して、

メイクもばっちり練習して、

ネイルだって念入りにチェックして、

お腹だって引っ込めて、





それから……

それから……



げっ!