課長とのラブラブタイム♪

そんな私のハカナイ期待は、与作兄ちゃんと田吾作による『課長拉致』ア~ンド『デズニーランド行幸』によって抹殺される。

でも、バスに乗せられた課長は物珍しそうにバスの中を見回してる。

勿論、村のばあちゃんたちは課長の回りをワラワラと取り囲んで、「ほんなごて、天国た~い」なんて、寿命を延ばし中。

バスは予定通りデズニーランド……いや、ディズニーランドに到着し、ぶすったれた私もさすがにワクワクしてきたぞ!


課長そっちのけで、屋台に並びポップコーンを頬張っちゃったりなんかもする。


一方、課長は課長で村のばあちゃん達が離してくれそうにない。


なんか、さっきのコクハクとかチューとかが幻に思えて来た。


辺りは次第に夕闇迫り、電飾のパレードがそろそろ始まる。



課長は……いない!



どこ行ったの?


立ち上がり辺りを見回す。


シートに座っていた田吾作がクイクイと私の着物の袖を引く。

「由紀?なんばしよっと?パレードがもう始まるたいね」

「うん。でも……」

「座らんね!周りの人が見えんやろうが!」



と、その時、背後から手を掴まれ、その手に引かれるままに転がるように走り出す。

煌めくパレードの光が、その手の先にある人の顔を映し出す。


「課長!」

びび、びっくりした!

でも、手が痛い。
草履だから、転びそうになるし。


「課長、どこに行くんですか?!」


課長は何も答えないまま、ズンズンと人混みを掻き分けて足早に歩いて行く。

私は何度も後ろを振り返る。

パレードが終わっちゃうよ。

生まれて初めてのディズニーランドだったのに!


息が切れて、転びそうになる私を課長が抱き止める。