「ええ、そうなんですのよ。全くこの子ときたら、トント男性に縁が無いものですから。このまま、ほっといたら、行かず後家になってしまいそうで……」
かぁちゃんはハイテンションで、まくしたてる。
「もう、かぁちゃん、いいから!課長、急いでるし」
私は急いでかぁちゃんの背を押して、課長に一礼をするとその横をすり抜けようとする。
その瞬間、いきなり課長に手首を掴まれる。
「課……長?」
驚いて振り返る私に、課長も困惑したように掴んだ手を離す。
「あ……いや。すまない。見合い、うまくいくといいな」
「……はい。課長もNYでお元気で」
そしてほんの一瞬、課長と見つめ合ってしまい、慌てて目をそらす。
「あら、やだ!もう、この子ってば、足袋履いてないじゃないの!!
ちょっとここで待ってるのよ!急いで取って来るから」
私をコツンと小突くと、かぁちゃんは美容室にパタパタと駆けて行く。
ポカーンとかぁちゃんの後ろ姿を見つめる私に、課長がクスリと笑う。
「お前は母親似だな」
「え?!そうですか?」
「元気で明るくて」
う~ん。
かぁちゃんに似てる……?
心境、ガバイ複雑。
「それに……美人だったんだな、お前。似合ってるよ、その着物」
「課長……」
課長は泣きたくなるような、それでいて切なくなるような笑みを浮かべると、突然、私の頬をブニュッと摘まむ。
「今までみてきた部下の中で、お前が一番手が掛かったが……でも、いつでもがむしゃらに俺に食らいついて来た。
そんなお前の事が、好きだったよ」
え?
え?!
か、課長……
今、今、何て言いました??
「引き止めて悪かった。……じゃ、元気で。見合い、上手くいくといいな」
課長は私のおでこをポンポンと叩くと踵を返し、光溢れる回転ドアの向こう側に去って行ってしまったんだ。
かぁちゃんはハイテンションで、まくしたてる。
「もう、かぁちゃん、いいから!課長、急いでるし」
私は急いでかぁちゃんの背を押して、課長に一礼をするとその横をすり抜けようとする。
その瞬間、いきなり課長に手首を掴まれる。
「課……長?」
驚いて振り返る私に、課長も困惑したように掴んだ手を離す。
「あ……いや。すまない。見合い、うまくいくといいな」
「……はい。課長もNYでお元気で」
そしてほんの一瞬、課長と見つめ合ってしまい、慌てて目をそらす。
「あら、やだ!もう、この子ってば、足袋履いてないじゃないの!!
ちょっとここで待ってるのよ!急いで取って来るから」
私をコツンと小突くと、かぁちゃんは美容室にパタパタと駆けて行く。
ポカーンとかぁちゃんの後ろ姿を見つめる私に、課長がクスリと笑う。
「お前は母親似だな」
「え?!そうですか?」
「元気で明るくて」
う~ん。
かぁちゃんに似てる……?
心境、ガバイ複雑。
「それに……美人だったんだな、お前。似合ってるよ、その着物」
「課長……」
課長は泣きたくなるような、それでいて切なくなるような笑みを浮かべると、突然、私の頬をブニュッと摘まむ。
「今までみてきた部下の中で、お前が一番手が掛かったが……でも、いつでもがむしゃらに俺に食らいついて来た。
そんなお前の事が、好きだったよ」
え?
え?!
か、課長……
今、今、何て言いました??
「引き止めて悪かった。……じゃ、元気で。見合い、上手くいくといいな」
課長は私のおでこをポンポンと叩くと踵を返し、光溢れる回転ドアの向こう側に去って行ってしまったんだ。