私が大学卒業後、入社したのは証券会社だった。
何で、証券会社かって?
理由は簡単。
ここ以外、受からなかったから。
就職活動冬の時代。
入社させてくれるだけでもありがたいって言うのと、もう、就職活動はコリゴリだった私は、さっさと就職活動に見切りをつけて、悪魔の書類にサインした。
配属は、債券トレーディング部。
カッコ良さそうな名前でしょ?
何のことはない、債券って言うのを売ったり、買ったりをする仕事で、ディーラーとお客さんの間に入って調整するのが私達の仕事だ。
今日、その取引を失敗した。
債券相場が見る見る下がり、お客からの電話が殺到した。
部屋の中は、すさまじい喧騒。
電話の声だってまともに聞こえない。
そんな時、私の目の前にあるモニター電話の課長専用回線が点滅する。
私はこわごわ受話器で点滅画面を叩く。
「400!!400!!」
「えっ?あ、あのウリですか?それともカイですか?で、どちら様ですか?」
ガチャン!
質問に答えることなく、電話は切れる。
ウリカイどっちなのよん!
そうこうしている間にも、相場はものすごい勢いで下落して行く。
とにかく、注文入れないと!
「400!売り!」
私の掛け声に「ダン!!」(←取引成立って意味です)っと言って、ディーラーが親指を立てる。
そして、相場が閉まる。
後にこの時の1枚の伝票が問題となる。
「おい!ちょっと、みんな集まれ!」
奥田課長が部屋のメンバーを集める。
「この400億の売り注文を出したのは誰だ?」
「わっ、……私です……」
「客先が書いてないけど、客はどこ?」
「……分かりません」
「じゃ、何で売りを出した」
「多分、売りじゃないかって……」
「多分って、どう言うことだよ!売りか買いかも分からずに発注したのか!?」
「あ、でも、課長の専用回線で電話を取ったから、課長のお客さんだと思います。
だから、私、今、電話して確認してみ……」
「バカヤローーーーー!!!」
奥田課長は私が持っていた受話器を取り上げると、モニター画面に思いっきり叩き付けた。
何で、証券会社かって?
理由は簡単。
ここ以外、受からなかったから。
就職活動冬の時代。
入社させてくれるだけでもありがたいって言うのと、もう、就職活動はコリゴリだった私は、さっさと就職活動に見切りをつけて、悪魔の書類にサインした。
配属は、債券トレーディング部。
カッコ良さそうな名前でしょ?
何のことはない、債券って言うのを売ったり、買ったりをする仕事で、ディーラーとお客さんの間に入って調整するのが私達の仕事だ。
今日、その取引を失敗した。
債券相場が見る見る下がり、お客からの電話が殺到した。
部屋の中は、すさまじい喧騒。
電話の声だってまともに聞こえない。
そんな時、私の目の前にあるモニター電話の課長専用回線が点滅する。
私はこわごわ受話器で点滅画面を叩く。
「400!!400!!」
「えっ?あ、あのウリですか?それともカイですか?で、どちら様ですか?」
ガチャン!
質問に答えることなく、電話は切れる。
ウリカイどっちなのよん!
そうこうしている間にも、相場はものすごい勢いで下落して行く。
とにかく、注文入れないと!
「400!売り!」
私の掛け声に「ダン!!」(←取引成立って意味です)っと言って、ディーラーが親指を立てる。
そして、相場が閉まる。
後にこの時の1枚の伝票が問題となる。
「おい!ちょっと、みんな集まれ!」
奥田課長が部屋のメンバーを集める。
「この400億の売り注文を出したのは誰だ?」
「わっ、……私です……」
「客先が書いてないけど、客はどこ?」
「……分かりません」
「じゃ、何で売りを出した」
「多分、売りじゃないかって……」
「多分って、どう言うことだよ!売りか買いかも分からずに発注したのか!?」
「あ、でも、課長の専用回線で電話を取ったから、課長のお客さんだと思います。
だから、私、今、電話して確認してみ……」
「バカヤローーーーー!!!」
奥田課長は私が持っていた受話器を取り上げると、モニター画面に思いっきり叩き付けた。