そして、週末明け、佐久間主任と給湯室前でバッタリと会ってしまう。

き、きまずいぞ。

佐久間主任は……ごくフツー。

いつものポーカーフェイスですね。

さすが、佐久間大明神様。

メンタル、強し!

だから、ここはメンタルめっちゃチキンの私の方が、ゴキブリのような低姿勢で逃げることに……。

「おはよう!」

佐久間主任、朝から改心の一撃!

杉原、心臓が止まりました。

「おはっ……おはっ……ようございま、す」

恐る恐る振り返る。

「普通に接して欲しい……って言っても無理か……」

佐久間主任が、傷ついてる?!

本当に……傷ついてる?

「あの……すみませんでした。

佐久間主任のお陰でここまで成長できたのに……。

私、佐久間主任が外資系に行かれましても……」

「それ、二つとも間違ってる」

えっ?!

深々と下げた頭を一気に上げる。

「お前はな、まだ、全っ然、半人前なんだよ!

いつ、成長したって言うんだよ?」

「佐久間主任……?」

た、態度が豹変してます。

「この間も、引けのレイティング、間違ってただろう?!」

「あ、あれはっ……」

はっ!

あれ、間違ってたんだ……。

今頃、気付く。

「すみません……」

そんな私のおでこに「半人前!」「役立たず!」と佐久間主任の容赦ないデコピンラッシュがお見舞いされる。

「いっ、痛いです!佐久間主任~~」

おでこを庇いながら、抵抗する私に佐久間主任が笑う。

「行かないよ、外資系。お前を一人前にするのが、俺の仕事でもあるんだから。

お前がこのまま半人前だと、俺の指導者としての資質が問われる。

早く一人前になれ」

佐久間主任……。

佐久間主任の優しさが胸にじんわりしみる。


「やばい!もう場が開く!急ぐぞ!!」

佐久間主任の後を追って、私も走る。