ふみねぇの赤ちゃんは幾つかの検査をした後、私達が待つ新生児室に入ってきた。

疲れたのか、グッスリ寝ている。

足首に『大垣富美代ベビー』の青色のタグが付いてて可愛い!

大垣さんは夢中になって写真を撮ってる。

でも、すごい!

こんなにいっぱいの産まれたてホカホカの赤ちゃんを見るの初めて。

「キャー!課長、可愛い!!みんなすっごく可愛くないですか?!」

ガラス窓にへばりついている私を見て、課長がふっと鼻で笑う。

「サルだな」

「ひどっ!こんなに可愛いのにサルだなんて!!」

「いや、お前が」

ムッキー!

私のふくれっ面を見て、さらに課長が笑う。

でも……。

そう言えば、課長……、以前、言ってた……。

『……そのときは、お前に産んで欲しいとは言わんだろうな……』

あの時の課長の言葉に、今でも胸が締め付けられそうになる。

課長、笑ってるけど……。

本当は、ここに来るのも嫌だったんじゃないかな。

それをこうして、ここまで車で連れて来てくれて、しかも、病棟まで一緒に来てくれたなんて……。

「すみません。はしゃいじゃって……。課長……、子供、嫌いなんですよね」

私の言葉に課長の目がキョトンとなる。

「いや?俺は子供が嫌いだと言った覚えはないが?」

「えっ?……だって……」


ん?

あれ?

じゃぁ、あの時のは……?



私が課長に聞いてみようとしたとき、大垣さんが興奮気味に課長の腕を叩く。

「奥田さん!僕達のベビーが部屋に移動するみたいですよ!」