「帰るのか?」
か、帰るのかって……。
「だから、帰りますってば」
「そうか……」
そうか、って言ってる割には、掴んだ手を離してくれない。
「かぁ~ちょぉ~!」
「まだ、いろ」
「でも、フェデックスを出さないと……。
この書類、急ぐんですよね?」
課長がパッと手を離し、布団に潜る。
私は、書類を手にすると「じゃ、お大事に」と言って、部屋から出ようとする。
……ん?
でも、ちょっと待って。
もしかして、さっきのって……。
課長、私に……甘えてた?
今、布団を被ってるのも……
もしかして……
もしかして……
拗ねてるの?
まさか……だよね。
私は、課長のベッドに戻り、その横にひざまずく。
「次の集荷まで40分くらいあります。寝るまでそばについててあげますから、仕事なんかしないで寝てくださいね」
私に背を向けたままの課長の背中に、コツンとおでこを当てる。
課長は一瞬、ピクンと動いたけど、無反応。
甘え方を知らない人間の甘え方、チョー分かりにくっ!
でも、しばらくすると課長の静かな寝息が聞こえてきた。
私はベッドを回りこみ、課長の寝顔を覗き込む。
特定の女性とは付き合わないと言っていた課長が私と付き合い、そして、以前は甘え方を知らないと言っていたのに甘えてくれた……。
絶対、変わらないものなんてないのかもしれない。
未来も。
人の心も。
私は、寝ている課長の手をそっと握る。
その寝顔に愛おしさがこみ上げて、胸がいっぱいになる。
あ~っっ!もうっ!
本当にバカだ、私。
この人、鬼なのに。
どうしようもなく、小難しくて、取り扱い不可能物件なのに……。
でも……。
こんな風に甘えて、安心して寝てもらえるのが、涙が出そうになるくらい嬉しいなんて……。
か、帰るのかって……。
「だから、帰りますってば」
「そうか……」
そうか、って言ってる割には、掴んだ手を離してくれない。
「かぁ~ちょぉ~!」
「まだ、いろ」
「でも、フェデックスを出さないと……。
この書類、急ぐんですよね?」
課長がパッと手を離し、布団に潜る。
私は、書類を手にすると「じゃ、お大事に」と言って、部屋から出ようとする。
……ん?
でも、ちょっと待って。
もしかして、さっきのって……。
課長、私に……甘えてた?
今、布団を被ってるのも……
もしかして……
もしかして……
拗ねてるの?
まさか……だよね。
私は、課長のベッドに戻り、その横にひざまずく。
「次の集荷まで40分くらいあります。寝るまでそばについててあげますから、仕事なんかしないで寝てくださいね」
私に背を向けたままの課長の背中に、コツンとおでこを当てる。
課長は一瞬、ピクンと動いたけど、無反応。
甘え方を知らない人間の甘え方、チョー分かりにくっ!
でも、しばらくすると課長の静かな寝息が聞こえてきた。
私はベッドを回りこみ、課長の寝顔を覗き込む。
特定の女性とは付き合わないと言っていた課長が私と付き合い、そして、以前は甘え方を知らないと言っていたのに甘えてくれた……。
絶対、変わらないものなんてないのかもしれない。
未来も。
人の心も。
私は、寝ている課長の手をそっと握る。
その寝顔に愛おしさがこみ上げて、胸がいっぱいになる。
あ~っっ!もうっ!
本当にバカだ、私。
この人、鬼なのに。
どうしようもなく、小難しくて、取り扱い不可能物件なのに……。
でも……。
こんな風に甘えて、安心して寝てもらえるのが、涙が出そうになるくらい嬉しいなんて……。