課長は私の首筋にキスをすると、

「由紀、いい加減こっちを向かないか?」

なんて、甘い低音の美声で囁く。

そんな風に囁きながらも、耳に、首に、課長は入念に愛撫してくる。

わぁ~。

ちょっと待ってください~。

そこ、ダメ。

うぎゃ。

そこも、ダメダメ。

もう、ぞくぞくが止まらない。

これぞ、女体を知り尽くした匠の業ってやつなのか?!

油断した隙に、課長の大きな手が首筋から伸びて、両胸を包み込み、もてあそび始める。

「か、課長~……」

もう、だめ!

気を失っちゃう。

課長の手に自分の手を重ね強く握り締めたとき、課長の手が止まる。

「……課長?」

課長は私の後頭部に、自分のおでこをコツンと当てる。

「その、課長は止めないか?

まるで今から仕事でもするみたいで……」

課長は照れたように、一瞬黙り込む。

「何を言ってるんだ、オレは……」

課長のドキドキと高鳴る鼓動が背中から伝わる。

「すまん。今のは忘れてくれ」

課長が私の首筋に顔をうずめる。

もしかして、課長も緊張してるの?

課長ってば、可愛いぞ!

私は課長の方を振り向くと、その唇にそっとキスする。

「由紀……」

「好きです。課長」

課長はふっと微笑むと、私を強く抱きしめる。

「オレもだよ」