課長と向かい合ってゴンドラに乗り込む。

課長は手すりに手を掛け、肘杖を付きながら外を眺めている。

ゴンドラが徐々に徐々に高くなって……。

よっしゃ。

もう少しでキススポットじゃないですか!

ゴンドラが一番上に上がったときにキスしたカポーは永遠に結ばれるっちゅー伝説の観覧車。


こっからが勝負だ!

どうしよう。

緊張しちゃうよ!

どうやって、課長にチューしてもらえばいいんだろう……。



「地上の星か……。綺麗だな」



下を眺めていた課長がポツリと呟く。

地上には、家や街頭の灯りや、車の灯りが灯っている。

確かに、かなりいい感じなんですけど……。

それどころじゃないっす。

とにかく、私が課長の隣に移動しなきゃ、キスは無理だべ。

でも、このゴンドラ、微妙にユラユラ揺れてるんですけど!(怒!)


目の前の課長までの30cmが、まるでアメリカに渡るよりも遠いような気がするよん。

「か、か、かちょぉ~。隣に行ってもいいでしょうか?」

頂上まで、あともうちょっと。

へっぴり腰になりながら、手すりを掴んで立ち上がろうとする。

がんばれ、私!

「どうした?俺がそっちに行こうか?」

「キャー!!いきなり立たないで下さい、課長!

心の準備が……」


課長が、私の隣に来てくれたけど、ユランユラン揺れて、チョー怖い。

隣に来てくれた課長に怒りつつも、彼の首にしがみつく。