「それはそうとかぁちゃん!いつ九州から来たと?」

「今さっき着いたとこばい。そしたら、丁度、病院から電話が入って来たさ。あんたもはよ来んしゃい!」

傍らに立っていた課長のお母様がペコリとかぁちゃんに向かってお辞儀し、かぁちゃんも誰だったかね?この人は?なんて、顔しつつも、とりあえずお辞儀を返す。

ふみねぇが目を覚ました。

これから、厳しい時間が待っている。

でも、決断は早ければ早いほうがいいに決まってる。

赤ちゃんには申し訳ないと思うけど、私、ふみねぇを失いたくない。

ケータイを握る手に力を込めると、決心が固まる。


「課長、すみません。姉が目を覚ましたようなので。
つらいけど、説得してみます。また、改めてお電話を……」

『由紀、ちょっと待て』

「……課長?」

『富美代さんは今、妊娠何ヶ月と言った?』

「5ヶ月ですけど」

『5ヶ月か……。富美代さんの病気の件で、少し引っかかることがある。
彼女と話をする前に5分だけ時間をくれないか。後で電話する』

「でも、私、ケータイが繋がらないし……」

『そこは、慶東病院だろう?総合案内から、ナースステーションに回してもらうから出てくれ』

「分かりました」

『では、5分後に電話する』


課長との話が切れ、じっとケータイを見つめる。

課長はなぜここが慶東病院だって言うことが分かったんだろう。

私は病院名までは佐久間主任に伝えていなかったし、確か、美魔女様との会話の中に病院名までは出なかったはずだ。

課長ってば、ついに透視能力まで身に付けちゃったのか?