コホンとひとつ咳をして、声の調子を整えると、美魔女様からケータイを受け取る。
「もしもし。杉原です。あのぅ、先ほどは失礼しました」
『誤解は解けたか?』
「はい。すみませんでした。それから、ご報告もないまま、日本に帰ってしまって、すみません」
見えないことは分かってるんだけど、日本人のこれはもう性(さが)じゃね。
深々と頭を下げる。
『佐久間からお前に身に起こったことの報告を受けた時、心底腹が立った』
お怒り、継続中ですか、鬼課長。
「本当にすみません。お怒りごもっともです。課長の権限を無視し……」
『嫉妬だよ』
「へっ?」
『なんで、お前のことを佐久間から聞かされなきゃならないんだって』
「課長……」
『まぁ、仕方ない。俺はどうやらその時、鼻の下が1mくらい伸びていたらしいからな』
課長がクスリと笑う。
「いえ、それはだから……そのぅ……1mmくらいな話で……課長ってば、イジワルです」
穏やかな声に私もホッとして、肩の力が抜ける。
『それはそうと、富美代さんは大丈夫なのか?』
おお!そうだ!!
私は急いで状況を説明する。
『そう……か。大変だったな。お前は大丈夫か?』
「はい。でも、姉を見ているのがつらいです」
『そばにいてやれなくて、すまない』
「でも、声を聞くことが出来ましたから」
課長とのラブモードONの会話をしている時、「由紀ーーーー!」と遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえて、急いで振り返る。
かぁちゃんが、転がるように中庭を駆けてくるのが見えた。
ケータイの会話口に手を当てて、「どがんかしたと?!」と返事を返す。
「富美代が……富美代が目を覚ましたばい!!」
「もしもし。杉原です。あのぅ、先ほどは失礼しました」
『誤解は解けたか?』
「はい。すみませんでした。それから、ご報告もないまま、日本に帰ってしまって、すみません」
見えないことは分かってるんだけど、日本人のこれはもう性(さが)じゃね。
深々と頭を下げる。
『佐久間からお前に身に起こったことの報告を受けた時、心底腹が立った』
お怒り、継続中ですか、鬼課長。
「本当にすみません。お怒りごもっともです。課長の権限を無視し……」
『嫉妬だよ』
「へっ?」
『なんで、お前のことを佐久間から聞かされなきゃならないんだって』
「課長……」
『まぁ、仕方ない。俺はどうやらその時、鼻の下が1mくらい伸びていたらしいからな』
課長がクスリと笑う。
「いえ、それはだから……そのぅ……1mmくらいな話で……課長ってば、イジワルです」
穏やかな声に私もホッとして、肩の力が抜ける。
『それはそうと、富美代さんは大丈夫なのか?』
おお!そうだ!!
私は急いで状況を説明する。
『そう……か。大変だったな。お前は大丈夫か?』
「はい。でも、姉を見ているのがつらいです」
『そばにいてやれなくて、すまない』
「でも、声を聞くことが出来ましたから」
課長とのラブモードONの会話をしている時、「由紀ーーーー!」と遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえて、急いで振り返る。
かぁちゃんが、転がるように中庭を駆けてくるのが見えた。
ケータイの会話口に手を当てて、「どがんかしたと?!」と返事を返す。
「富美代が……富美代が目を覚ましたばい!!」