「課長こそなんで、このっ、このっ……(う~。誰なんだ?)この人に電話してるんですか?」

『別に。俺が誰に電話しようと俺の勝手だが?』

なんですと?!

「私には一度しか電話、くれなかったのにですか?」

そうそう。

しかも「この、ばっ……」で切れたし。

『電話したさ。だが、ずっと通じなかったんだから仕方ないだろう』

はっ!

そうだった。

私の電話、電源が落ちっぱなだった。

この3日間、バタバタしててすっかり忘れてた!

悪いのは、私じゃないですか。

僅かな沈黙に、課長が反撃に出る。

『第一、なぜ俺に一言の断りもなく日本に帰っているんだ』

「一言の断りもって……。佐久間主任に伝えました!」

まさか、佐久間主任、課長に伝えなかったのか?!

『聞いたさ。佐久間にな。だが、俺はお前を日本に帰してもいい権限を、あいつに委譲したつもりはない』

「権限って……」

『お前が緊急事態に陥っていた事は、佐久間から聞いた。だが、なぜそれを「おまえ」からではなく「佐久間」から聞くんだ』

課長、かなりお怒りの模様。

久し振りに「バカヤロー」発動か?

ヤバイ!

電話機をそっと耳から遠ざけスタンバる。