大垣さんと結婚したふみねぇは、九州を出て、大垣さんの住む東京で新婚生活をスタートさせていた。

そして、東京に運輸会社社の本社があるということで、ふみねぇは転勤と言う形で仕事を続けていたらしかった。

そんな中での事故だった。

手術が終わってから3日経ってもふみねぇは目を覚まさなかったけれど、容体の安定に一安心した家族は、とりあえず、仕事や学校があるからと九州に帰っていった。

私は会社のありあまった有給を使って、ふみねぇの病室へと足を運んだ。

だけど、4日目の今日もやっぱり目を覚ましていない。

ずっと目を覚まさないでいればいいのかもしれない。

目を覚ましたら、赤ちゃんを堕ろさなくてはいけないという現実が待ってるんだもん。

でも、ふみねぇの病気のことを思えば、一刻も早く治療を始めなきゃいけないのは分かってる。

「ふみねぇ。つらかったよね。ごめんね、知らなくて」

幾分、ぬくもりを取り戻したふみねぇの手をそっと両手で包むと、少し反応したような気がした。

「ふみねぇ!?聞こえてる?」

でも、反応はなかった。