ほどなく、車は私がこれから住むと言うマンションの地下へと滑り込む。

駐車場から部屋のフロアーまでエレベーターが直結しているぞ!

しかも、内廊下が絨毯張りでホテル仕様の高級そうなマンション。

「俺の部屋はこのさらに上の階の4505室だ。何か困ったことがあったら、携帯に連絡を」

大股で歩く課長に遅れまいと、いまだに慣れないハイヒールで課長の後ろを追い駆ける。

「クリーニングは1階のコンシェルジュに頼むといい。朝に出せば夕方には受け取れる」

さっきまでの甘ラブムードとは程遠い課長の業務連絡に、懸命に追い駆ける足と頭が付いて行かない。


「それから、これがお前の部屋のルームキーだ」


部屋の前に到着すると、課長から鍵を受け取り鍵を開ける。

そして、リビングに入るなり、全面ガラス張り大パノラマの目の前に広がるNYの夜景に圧倒される。


「うっ……わぁ!すっごい!課長!本当にこんなに素敵なところに住んじゃってもいいんでしょうか?」


いつの間にか、私の背後に立っていた課長が「ああ」と耳元で囁き、そっと後ろから抱き締めてる。


ぎゃっ?!

ぎゃ、ぎゃぎゃ!!

こ、これはいきなりラブモードに突入ですか?!

私は課長のラブモードスイッチがいつどこでオンになるのか、いつも分からなくて動揺してしまう。


「あ、あのぉぉぉぉぉぅ!か、カッチョー、お茶、お茶でも飲みませんか?!」

「いや、いい」

「でも、あのっ……お茶、美味しいですよ」

声が裏返り、全身が緊張で震える。

それに……

うぎゃぎゃっ!!!

何の前触れもなく、課長の唇が首筋を這う。

どーしよぉぉぉぉ~~~!

全身に汗が吹き出す。

こう言うときって、どうしたらいいの?!

「由紀……」

くるりと振り向かされて課長の甘いキスを受けながら、今にも息が止まりそうになる。

私の両頬を挟んでいた課長の大きな手が、優しく首筋を這い、やがて私の胸を優しく包み込む。

課長の吐息混じりのキスが首筋を伝う。


まさか……

まさか……


今夜はついに脱バージンでしょうか?!