ど、どぉしよぉぉぉ。

ちゃんと、課長に言わなくちゃ、だよ。

勝負下着を全部に日本に置いて来たこと。


……いや、ちゃうちゃう。

そっちじゃないってばよ。


パソコンをカタカタ打ちながら、雑念に惑わされ、微妙に集中できない。


仕事をしている私の目の前では、やっぱり課長が鬼のような速さでパソコンをカチャカチャ打っている。

スゴイ集中力だ。

と、思ったら、課長のパソコンに置いていた手が急にパタリと止まる。

熟考タイムか?

と思いきや。

ね、寝てる!

寝ちゃってるよ、課長ってば!

「あの……課長?」

一声かければ、突然、覚醒したかのように、また鬼技でパソコンをカチャカチャ鳴らす。

おもしろいなぁ。

課長を見て、今まで恐いとばかり思っていたけど、こうやってマジマジ見ていると、結構、面白いじゃないか。


な~んて心の声が聞えてしまったかのように、課長が椅子から急に立ち上がる。


「杉原!」

「はいぃぃぃ!!」

「15分寝る。23時33分に起こしてくれ」

「はい!」

それだけ言うと、スイッチが切れたかのように課長はソファの上にバッタリと倒れ込んでつっぷしたまま寝てしまった。


「カチョー、あのー、スーツがシワになりますよぉ」


そんな声ももう聞えないらしく、スースーとした寝息がかえって来るだけ。


「体、壊しちゃいますよ、課長」

「……ん……」

仰向けに寝返りを打つ課長の髪が乱れ、吐息にも似た課長の声にぞくぞくっとなって腰が砕けそうになる。


ああ。

チクショー!

なんて、セクシーなんだ、課長。

課長の寝ているソファにかがみ込み、久しぶりに課長の顔をまじまじと見る。


好きだ。

……好きなんだ。

彼女止めます宣言しても、やっぱり私、課長が好きなんだよ。


グズグズになった鼻水をずっとすすった時、課長の大きな手が私の手首をがしっと掴む。