周りを山脈に囲まれ、未だに未開拓な部分の多い地方、グリーンピース。その地方には竜以外にも様々な動物や幻獣が手付かずの自然の状態で残っている。
鬱蒼とした森を走る影が二つある。
小さな影と大きな影は互いに衝突しては間合いを取る。
不意に、大きな影から火球がほとばしる。人の頭程の大きさの火球は、小さな影にぶつかる直前に弾かれる。
小さな影は一気に間合いを詰めて二つの影は衝突した。
「いってえぇぇ!!」
森に少年の声がこだまする。
「バカモノ。竜を素手で殴るのはもっと拳を鍛えてからにしろ。」
落ち着いた声が、少年に語りかける。
「そもそも、魔法壁の使い方がまだまだ無駄が多い。格闘する時も魔法壁を解くなと何回言えばわかるのだ?アルフ。」
アルフと呼ばれた少年は頭を掻く。
「んなこと言われても…。ずっと出すのきついんだぜ?レイ。」
レイと呼ばれた竜はアルフを睨んだ。
「貴様は忍耐力が足りんな。修行以前の問題だ。」
「うるせぇな!そもそも格闘なら負けないわ!!」
「ならば組手してみるか?喧嘩でもいいだろう。かかってこい。」
「言ったな陰険ドラゴン…。ぶっ殺す!!」
少年は再び竜に向かい跳躍、蹴りを繰り出すも避けられる。