母は、私達に弱いところは一度も見せたことがなかった。
すごく、強くて、すごい母だった。
私は自分の部屋で、絵を描いたりして遊んでいた。
そんな時、1階の方から聞こえる泣き声。
そっとドアの隙間からリビングを覗くと、泣いている母とその背中をさすり、一緒に泣いている祖母の姿。
私は気付かれないように、ドアの横に座り、話を聞いていた。
泣きながら何か必死に訴える母。
私は涙が止まらなかった。
何を言っているのかは聞き取れなかったけど、
母の弱い一面を見たことで涙が溢れた。
いつも強い母が、
私達には内緒で
お母さんに話していることが、嬉しくて。
母も、つらいことを話していることに涙が出た。