小学4、5年生になり、ままの病気が何なのか、気になり始めていた頃。
私は、押し入れで見てはいけないものを見てしまったんだ――――。



「・・・何これ」

――パラパラ・・・



―――――がんになってしまった。





ままの字。





がんになってしまった。

がんに・・・


ガンニナッテシマッタ。



いくら小学生だからと言っても、"がん"という言葉くらいは知っていた。
ただ、重い病気なんだ、ということだけ。



母の病気はどんどん進んでいった。
抗がん剤も始め、髪も抜け落ち、帽子やウィッグは欠かせなかった。
吐き気もひどかったらしいし、針のあとなんかもすごくて、母だけど、母じゃなくなっていくみたいで、恐かった。