片方の頬だけハムスターのほお袋みたいにした彼女は
口だけ動かして言った。





おいしい と。







誰か……と
そう思った。



誰か……、
どこの人でも
どんな神様でもいいから
彼女を助けて下さい って。



彼女を救うためなら
なんだってする。



この先ずっと働き詰めでもいいし
彼女にフラれたっていい。



でも、
そんなこと思ってみたって
実際にはそんなことできるわけがなくて。



あまりにもマイナス思考で
無力な僕は
ただ彼女の横でそんな下らないことを考えてるだけ。





飴を食べた彼女がそっと笑う。




「飴の力は……?」








もう僕の言葉は届かない。