「急だけど、来週入院しなくちゃいけないの」 彼女は僕を不安にさせまいと 僕に話をさせる隙間をつくらなかった。 そして彼女はポケットから 大きいすももの飴を取り出して 僕の目の前に置いた。 どこかずっと遠くの場所でサイレンが鳴った。 夕暮れは跡形もなく消え、 もうすぐそこに果てしなく暗い夜が迫っていた。