「……ライ」


鵺の目線のその先にはトラツグミの姿のライがいた。


いた、という表現はおかしいのかもしれない。


だってライは少しも動く様子はなかったから。


「……え、ライ……?」


あたしの小さい時からの友達。


鵺と出会うきっかけを作ってくれたライは、もう目を開けなかった。


「な、んで……?」


もうこれ以上大切な人が苦しむのは嫌だよ……


あたしには何も出来ないの……?


鵺は上半身を起こして割れ物を触るようにライを持ち上げた。


ライの顔は安らかで、暖かい何かが伝わってくるようだった。


鵺はそんなライをずっと眺めてる。


きっとあたしより鵺の方が何倍も辛いんだと思う。


あたしには触れられない絆を感じ、そっと目を閉じた。