「貴方を責める気はない……と言うのは嘘になるけど、鵺が貴方を守りたくてやったことだわ。そんなに思いつめないで」
湊さんなりにあたしに気を使ってくれてるのだろう。
あたしはその心遣いに泣きそうになった。
誰よりもあたしを憎んでるのは湊さんで、誰よりも鵺の幸せを願ってるのは湊さんのような気がしたから。
「湊……さん…」
「じゃあもう行くわね。鵺のこと、よろしく」
湊さんは静かに部屋を出ていった。
湊さんはあたしに鵺を任せてくれた。
どうしてそんなに大人になれるんだろう。
どうしてあたしはこんなにも子どもなんだろう。
あたしは堪えていた涙をぽつり、流した。