湊さんは泣いていた。


無反応なあたしと動かない鵺を見て泣いていた。


あたしには湊さんに声をかけることすらできない。


それでも湊さんはぎゅっと優しくあたしを抱き締めた。


「み、なと……さん、」


「………」


湊さんは無言でしゃくり上げた。


あたしはその音を聞くことしかできなかった。



―――――


病院の薬品の匂いに混じって月が見え隠れした。


心電図の音だけが響いて止まらないように祈った。


「鵺は小さい頃からああいう性格だから、友達も少なかったのよ」


湊さんは目を腫らしながら少し微笑んだ。


「それに鵺は医者の息子で習い事で忙しくて遊ぶヒマなんてなかったの」


あたしはただ湊さんの話を聞き逃さないようにしていた。