チッチッチッ……
日付が変わり2月14日になった。
過去は変わった。
昨日は鵺と出会った日。
今その鵺は危篤に陥っている。
病院のベッドに横たわる顔は血の気がなく、あたしはそれを何時間も見つめていた。
コンコン
小さくノックの音がして振り返ると、湊さんがいた。
湊さんはあたしに近付くとパンッと頬を叩く。
熱くなる片頬を無視し、あたしは何も言わなかった。
いや……何かを言える立場じゃない。
鵺はあたしを助ける為に自ら轢かれた。
あたしのせいで鵺はこんなにも危険な状態でいる。
泣いても喚いても償えない。
……あたしが死ねば良かったのに。