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「鈴~……怖い…助けて……」

「はいはい。掴まってて」

上には満天の星と下を見ると人工の明かりが輝いて見えた。


「鈴……あたしが高所恐怖症って知っててここに呼んだんでしょ~?」

「そうなの?今初めて知った!」

白々しいあたしの言葉に穂波が睨みを効かせる。

あたしはこの展望台より穂波の方が怖いよ……


そう。あたしは高所恐怖症の穂波をこの展望台に連れてきた。

しがみつかれた手を解いて、穂波に聞こえない距離で雪久くんに電話をかけたんだ。


騙すようで悪い気がするけど、これがあたしの精一杯の応援。

「ちょっと穂波~!離れないでよっ!」

「ごめんね!用事できた!」


穂波から離れて階段を降りようとしたら雪久くんに会った。

息は乱れていて、こんなに寒いのに汗もかいてる。

「穂波はあっちだよ!」

雪久くんはあたしが指差した方向に無我夢中で走っていった。


2人が上手くいきますように……

空を見上げて心から天に祈った。