「雪久くん……っ、待って!」

「俺には心に決めた人がいるんです!」

雪久くんは本当に真面目で、遊びで穂波と付き合うような人じゃないと分かった。

それはいいんだけど……天然っぷりも発揮して、なかなか話が進まないよ!


「穂波のことなんだけど!」

大声で叫んだら、雪久くんは立ち止まって早足であたしの所に寄ってきた。

「ほ、穂波さんのことって何ですか!?」

穂波さん、って……。完璧尻に敷かれるタイプだよね……


「とりあえずどっか行かない?」


―――――


辺りはオレンジ色に包まれて、寒さが募る。

外は寒いからと近くの喫茶店に入った。

喫茶店の中はコーヒーの匂いが立ち込めていてあたしの食欲をそそる。

メロンソーダとカフェオレを1つずつ頼んで来るのを待った。