何から何まで至れり尽せりで、さっきまで怒っていたのが少し申し訳なく感じる。

「あの、……ありがと」

鵺は珍しく軽く微笑んでどういたしまして、と言った。


……笑えば格好いいのに。

あたしは席につき用意してくれたサンドイッチを食べた。



「貴方様はどうして過去にお戻りになったのですか?」

あたしはサンドイッチを食べながらこれまでの経緯を話した。

武宏のデート現場を見たとか、鵺の店に入って腕時計を押し売りされたとか。


「あ、ねえ、1つ聞きたいんだけど」

「何でしょう」

「この腕時計、1週間前の過去にしか戻れないって聞いてたけど、今使ったら更に1週間前に戻れるんじゃないの?」

それを繰り返したら1年前にも5年前にも戻れるんじゃないかなって、ずっと疑問に思ってた。


「確か、1度貴方様のいた現代まで時間を進めないと使えない筈です。試してみましょう」