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「ふう、癒されるー」

白く曇った視界の中、あたしは疲れを吐き出すように溜め息を吐いた。

少しせまい浴槽に熱めのお湯を張り、今日の疲れを癒す。


今日起こった嫌なことも全部吹っ飛ぶくらい気持ちいい。

でも本当はまだ気持ちは晴れなくて、今1階では鵺と湊さんは何をしてるのかすごく気になる。


あんなに美人な人が一体鵺とどういう関係なんだろう……

さっきから同じ質問を自問自答して更に悩む。

考える必要なんかないよ!あたしは関係ないし!

……でも、気になるもんはしょうがないし……


……ここはやっぱり本人に聞くしかないか。

ざばっと身体を洗い流し、お風呂から出ようと戸に手をかけた。



「着替え、ここに置いておきます」

「え……っ、ぬ、鵺!?」


曇りガラスを1枚隔てた先から聞こえてきた鵺の声。

あたしの心臓はドキリと跳ね、顔は真っ赤になる。

ややや、勝手に脱衣所に来ないでよー!


鵺はいつもと変わらない声のトーンでバスタオルの在処を付け足した。