黒髪に丸い眼鏡、そして黒いコートをはためかせながらあたしの方に向かってきてくれた。


ヒョーヒョー

鵺は口に指を独特に咥え口笛を吹く。

それと同時に数匹の鳥たちが男たちめがけて突っ込んできた。

「邪魔だ!近寄るな!」

手をぶんぶんと振り払っても鳥たちは攻撃を辞めない。

男たちにはつついたり噛み付いたりしているのに、すぐ近くにいるあたしには目もくれない。


そして男たちは逃げるようにこの場を去っていった。

「…大丈夫ですか?夜なのに女性を1人で外に放り出してしまってすいません」

膝の力が抜けてへたりこんだあたしに、鵺は手を差し延べながら言う。


「……今の、なに?」

お礼よりも先に口を吐いて出た言葉はそれだった。

だってあたしが見た感じでは、鵺はあの鳥を操ってるように見えた。


……そんなこと、本当に出来るのかなんて分かんないけど。