ろうそくに灯る紫の炎が鵺とあたしの顔を照らした。
「………」
沈黙が走り、あたしはこの照れくさい雰囲気に緊張してしまった。
「……今更なんですが、お名前を伺っても宜しいでしょうか」
「あ、ああ、崎野……鈴です」
唐突に聞かれて少し怯んでしまった。
それでもなんとか声を絞りだし答える。
鵺の方を見ると、今まで見たことのないくらい驚いた表情をしていた。
あまり感情を顔に出さない鵺がそんな表情をするなんて、なにか大変なことでもあったのかと心配になる。
「さきの……すず、」
「ど、どうしたんですか?」
鵺はあたしの名前を信じられないとでもいうように、何度も繰り返した。
一体あたしの名前がどうしたっていうんだろう……