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「お母さーん!この子、羽をケガしちゃってるよー!」

まだ小さいあたしは、両掌に収まりきらないくらいの小鳥を外から連れ帰った。

「じゃあうちで看病してあげようか。鈴、できる?」

「うん!」



外は雨で雷も鳴っていた。その時窓からうっすらと見えたのが、その小鳥だった。

「この子はトラツグミだよ。群から離れてしまったのかな?」

「トラ……?あ!ライ!雷の日に出会ったから、名前はライにしよう!」



それでもトラツグミという鳥は渡鳥の為、いずれはこの土地を離れなければならない。

あたしはライの怪我が完治してもその事実を知らなかった。


「ライのばかー…っ、どご行っだのー……?」

泣きわめきながら外を探しても、広大な空にライを見つけるのは難しかった。

曇りのない真っ青な空をただ闇雲に探していた。