あたしは何も言えなくなり、拳を握り締めた。

それでも何か言い返してやらないと気が済まない。

「っ、なんなの?この変な店は!」


怒りを露わにいるあたしを気にもとめず、男はさも楽しそうに笑った。

「ここは『摩訶不思議装飾屋』、お客様の欲しい物を格安で販売しています」

「まかふしぎ?」

長い名前だし意味分かんない店。

店員なんて愛想のカケラもないし!


「そしてお客様が買い求めた腕時計は、貴方様の為のものです」

男は1度ふう、と息を吐き真顔になった。


「それは過去に逆戻りできる代物なのです」


あたしは嫌な予感が的中して一瞬頭が真っ白になった。

やっぱりそうだったんだ……そんな物が現代にあるなんて……


変な売り文句だと思って一寸たりとも信じていなかった事実がまさか本当だったなんて、腕時計を目に写しても過去に戻ってきてもそう簡単に信じれなかった。