確か今日の朝、お母さんはこう言ったよね。

『あんたさっき学校に行かなかった?』

『さっきまで制服着てたのに、どうしたの?』


きっとこれは昨日のあたしだ!

今この時点で、この世にあたしは2人存在してる。


つまり!昨日のあたしの跡をつけたら、またあの店に行けるかもしれない!

我ながらナイスアイデア!


行き詰まった事態の中、突破口を見つけたあたしは少しハイテンションになる。

さて!コンビニでパンでも買って自分を張り込み調査開始!




―――――


『過去のあたし』はどうやら昼休みの時間を過ごしているようだった。

校門の外から、不審者にならない程度に自分の姿を盗み見る。

『あたし』は何も知らずに笑ってた。

これから何が起こるかも知らずにただ呑気に。


そしてさっきから視界に写る武宏に、あたしの心は苦しくなった。

今もまだ、あたしの奥深くに根付いて離れようとしない気持ちがあって、早く消えてほしくて、でもこの気持ちを忘れたくなかった。