「な、なんで知ってるの!?」

「さあ、過去にでも戻ったのかもしれませんね」


男はくく、と怪しく笑った。

やっぱりこの店には何かあるのかもしれない。

薄暗い店内に、明かりは紫の火が灯るろうそくだけ。

見たことのない得体の知れない商品と、いかにも危ない店員。

男は黒いローブを羽織っていて顔がよく見えない。


あたしは背筋に悪寒が走り、鳥肌がたった。

急に怖くなって何でもいいから早くここから出たくなった。

「買います!何でもいいからその腕時計、買います!」


お金を荒々しく彼の前に置き、腕時計を奪い取る。

そしてそれを左手に握り締め、逃げるように店を離れた。


なんなの……!?あの変な店は……っ!