店員の男は、少し目を細めて嫌な顔をした。

「……そう簡単に信じれることじゃないですけど。買わないで後悔しても遅いですよ」


薄暗い店内で、彼の眼鏡が鈍く光った気がした。


……本当に?値段もそんなに高くないし、デザインもシルバーでシンプルだし……買うだけ買ってみる?

いや、でもそんな変な売り文句なんか危険な気がする!

でも実用的だし……どうしよう?


あたしがまた優柔不断に悩み出したら男がふ、と笑う。

「過去に戻ったら、あの男が振り向いてくれるかもしれないですよ」


男の台詞にあたしの顔が引きつった。

……あの男って武宏のことでしょ?

え、なんで知ってるのー!?

さっき見てたのかもしれないけど、そんなんじゃあたしの心中なんてわかんないじゃん!