―――――


見え隠れする月の明かりに照らされながら、ただひたすら歩いた。


別れ際に渡されたあの腕時計。


傷がついて時間が止まったままのそれをポケットにしまった。


けれどやっぱり名残惜しくてもう1度取り出して眺めた。


「………」


腕時計の裏には伝えたかった想いが記されていて、それを見つけた時には繋がっている気がして嬉しくなる。


くすりと小さく笑い、また眺めて。


「……当たり前だ」


なかなかポケットにしまえない想いを振り切って、1人呟いてそこに落とした。






―待ってるから―





END