古ぼったい店の中は薄暗く、少し埃っぽかった。
店の窓から武宏たちが通り過ぎてく様を釘付けに見ていた。
もう見たくないのに、目が離せない。
自分が惨めでしょうがない。
悲しくて情けなくて、小さく嗚咽を漏らしながら泣いた。
「……いらっしゃいませ」
どうやらこの店は開店しているようで、その低く響く声にびくっとした。
人、いたんだ………
とりあえず涙を拭いて、声のする方を目で探る。
灯りが少ないからよく見えないけど、不機嫌そうな顔でこっちを見ている男がいた。
年はあたしより少し上くらいで、この店のせいなのか顔色は悪く見える。
少し長い黒髪に眼鏡で、どうやら一見したらニートか引きこもりに見える人が店員のようだった。