顔を上げた立花は、
ベンチの上の
小さな鉢植えに
気づいた。
プレゼント用の
ラッピングが施されている。


「課長。あの鉢植えは?」


「おお、あれか…
被害者の物かは
まだ不明なんやが、
なんかの手掛かりになると
ええんやけどな」


佐々木は立花に
そう答えると、
他の捜査員のもとへ
向かった。



ラッピングが施されて
いるということは、
プレゼントなのは
間違いないだろう。


仮に被害者の物だとして、
誰かに貰ったものなのか。
それとも被害者が
用意したのか。



立花は立ち上がると、
鉢植えに近づき、
手にとってみた。



可憐に咲く小さな花。
短い花茎の先端に、
垂れ下がるように純白の
花を咲かせている。
そんな小さな花が、
雪の重みに堪える姿は、
とても儚く、
とても美しかった。



「まるで…
雪の雫みたいやな」


須藤の言葉に、
立花は深く頷いた。