「おい立花、
起きろ起きろ」
須藤は立花の頭を
数回叩いた。



「う…ん…
何ですか?」
目をこすり、
寝ぼけ声の立花は、
須藤を見た。



「何ですか?
やあれへん。
被害者の家族着いたで」



「えっ…もう?」
慌てて腕時計を
見ると九時二十分
だった。



「私、四十分も
寝てたんだ…
すみません須藤さん」
席を立ち資料を
手にする立花。



「まだ所轄が説明の
最中や。
とりあえず
鏡見てきいや」
須藤は立花の顔を見て、
自分の口元に指をやり、
とんとんと叩いた。



「えっ?
あ…はい……あっ」
立花は慌てて
化粧室へと向かった。


立花の口角には
うっすらと一本の
筋が残っていた。



身だしなみを整え
急ぎ足で戻る立花。



「立花さん」
横の通路から
出てきた女性警官が
声をかけた。



立ち止まる立花。


「ご遺族の方への
説明は終わりました。
あとはお任せします」



「はい」
と立花は
返事をした。



立花は急ぎ須藤に
伝え、
二人は被害者家族の
待つ部屋へと
向かった。