「アンタに見送られなきゃ、きっとトオル…逝けない」


そう言うと穂波さんは泣き崩れていった。


「…トオルくん…ッッ」


居ても立ってもいられなくて、トオルに被さっていた布全てを取り去った。


いつか見た、寝顔


あの日二人で、ホテルでいつものように人知れずお昼寝した…


あの時見た


寝顔…


「トオルくん、起きて」


精一杯だった


そのあとあたしも、泣きわめく以外の選択が無くて。


このときやっと分かった。


大切な人間を奪われる痛みが


自分の犯した罪の…


重さ。