今はネックレスとなって首から提げられている、新とのペアリングをギュッと右手で握りながら走った。 ――新は、どんな思いでこのリングを買ったんだろう。 ただでさえ、お金が無くて生活が苦しかった筈なのに。 ――何であんなに優しかったんだろう。 きっと、苦しかった筈なのに。 なのに。 なのに…!! あたしが、気付いてあげられなかった。 ごめん… ごめんね… 走っていた足は何時の間にか止まっていて…駅前に着いていた。