「これだけ…これだけは、忘れられなかったらしい。自分の名前を忘れても…このことだけは―――…」 自分の名前より、忘れられないもの。 そんなにも大切なものは、見たことも聞いたこともない。 あんなに沢山一緒にいたのに、あたしは何も知らなかった… 「――新の親、死んでるんだ。新の所為で―――…」