「じゃあ呼んだら入って来て」

「わかりました」

私は今日から春樹のいる学校に転校して来た。

それにしてもうるさい……。

朝から教室では私の話題で持ち切りだった。

「今日転校来るらしいぜ!」

「まじ?!女?」

転校生一人来るだけでなんでそこまで盛り上がれるんだか。

「めんどくさ」

小さく呟いてみる。

「お前ら早く席つけー」

先生が入って行くとさっきまで騒いでいた教室が急に静かになった。

「入って来い」

また教室が騒がしくなった。

本当にうるさいそう思いながら教室に入ると急に静かになる。

まぁなんとなく理由はわかっていた。

理由は私の格好だろう。

制服は学校指定のものを着ているが、私はその上に黒いパーカーを着てフードを被っていた。

「桜井です。よろしく」

〈なんでフード?〉

〈てか雰囲気怖くない?〉

小さな声で話し出した。

「桜井は黒崎の隣な」

黒崎?あぁ…あのいかにも自分かっこいいと思ってそうな奴か。

「よろしくな。俺黒崎奏多。奏でるに多いでかなた」

「どうも」

「あれなんて読むの?」

奏多と名乗った奴は黒板にある私の名前を指差して言った。

「せいは」

「ふーん…てか無口だねぇ」

うっとうしい奴の隣になるなんてどんだけ運悪いんだよ…。