Seiha side

「桜…散っちゃったな…」

私は、丘の上に一本だけはえている大きな桜の木を見て呟いた。

「お前誰?」

後ろから急に話し掛けられた。

これが奏多との出会いだった。


5月の中旬だが暑いくらい

暖かい日が増えてきた。

「星玻どっか行こうぜ」

そう言って、馴れ馴れしく私の肩に手を回してくる奴は春樹。

春樹とは小さい頃からずっと一緒で私の唯一の味方だ。

「私今日帰る」

「えー帰っちゃうの?」

私は笑って頷いた。

「じゃあね」

私が向かった場所は【星の丘】
ここはよく星が見えるから大好きなお気に入りの場所だ。

そしてここは死んだ兄貴のお気に入りの場所でもある。

「明日から学校か…めんどくさいな」

なにもかもがめんどくさいこの時私はそう思っていたんだ。

あなたに会う前は……。