出発の前夜、オリビアは、ジルとカレンを尋ねた。

「いよいよ、明日なのね、オリビア。本当に大丈夫かしら。」
カレンは涙ぐんでいる。

「泣かないで、カレン。明日は、みんなと一緒だから。」

そうは、言ってみたモノの、運次第じゃ、無事に再会することも叶わないと思って、口には出さぬが、会いにきた。

言わなくたって、二人なら理解しているだろう。

「オリビア。私は、ここを離れる事ができない。」
ジルが口を開いた。

「ええ。分かってる。」
オリビアは、笑む。

「オリビア・・・話しておきたい事がある。」

「何?」
ジルの言葉に、心臓の動きが速まる。

「おまえは、自分の出生を知る権利がある。
そして・・・その義務も。
そのうえで、自分な人生を決めなさい。」
そう前置きして、ジルはいつもの様に本題を述べた。

「おまえは、火宮王室の血族者だ。」

予感がありはしたものの、言葉は重くのしかかる。