「オリビア。
コレを使いなさい。」


ジルが、一本の剣を持ってくる。美しい装飾のついた長剣だ。

「いよいよ・・・ね。できれば舞いたくないのだけど。」

「ああ。覇王が、いかにその姫君を押さえられるかだな。」

「嫌な予感がする。」

オリビアの気分は重い。

舞えば、武術の心得のない自分が、死ぬことは明らかだ。

願わくば・・・その、姫とやらなら、生存の可能性もあるかもと、到底口にできない不謹慎な考えを抱いてしまうが、禁舞などで死にたくない。

何故、禁じられたモノを解禁したトバッチリを自分が受けねばならない?

納得がいかない。

そして、ジルが剣を渡す際にいった台詞も、気になる。

『オリビア。この剣は、オマエを守ってくれるかもしれない。』

魔剣か何かかと、冗談半分に聞いた自分に、思わぬ言葉を残し、住居に帰っていった。

『いいや。そんな魔剣ではない。強いていえば、オマエの血統を表す剣というところだ。』


壁に立てかけたソレは、装飾からすると、恐らく火宮のものだ。