剣舞が、最後に演じられたのは、火宮で、王女の生誕を祝う祝賀行事での事だった。

広間の中程では、延々と剣舞が繰り広げられていた。

随分とお酒を嗜み、上機嫌となった、時代の王は、酔狂でその舞に、剣士として参加し、悲劇は起こったのだ。

王と剣を交えていた二人の舞師は、元々、火宮に刺客として送り込まれたクーデター側の構成員だった。

一人が犠牲を被り、その交代の剣士として、王をいぶりだし、刺殺する予定をしていたものが、ほろ酔い加減の王自らから、出て来たのである。


この好機を無駄にするはずがなく、王を失うという顛末を迎える。


そのあとの政権交代劇こそ、文献に記されていないものの、おおよその察しはつく。

その、新政権こそ、まさしく、そのクーデター側で、彼等も政権を我中に納める事に苦戦をしいられ今にいたっている様子だ。

つまり、剣舞は、二十数年前までは、普通に演じられてきたのである。