名を呼ばれた青年は、何か楽しそうに、クツクツと笑って、酒を飲み始めた。

「ディック?
何を不安そうな顔をしている?」

年輩の青年に酒を勧める。

「いいえ・・・別に。
私は、貴方が、マタ何かやらかすのかと思うと、心労が絶えないだけです。」

・・・仮にも、この国の
次期王ですよ・・?
あなたは・・・。

ぐっと言葉を飲み込み、
横目でヴァイスを見遣り
ため息をついた。


何をいっても聞かないからな。
この方は。

自己責任も負うんだから
返って始末がわるい。

隣で酒を酌み交わす青年は、仕方のない弟分兼、主なのである。

肩で息をついて、
ディックもグラスを口へ
運び始めるのだった。