照り付ける太陽の下、オリビアは迷いを断ち切るように、舞の練習に励む。

なにかに打ち込んでいれば、その間は、彼を思い出すことがないから。

練習に励む事で、
彼の存在を忘れたかった。

いつも以上に熱心に取り組む日々が続く。

そろそろ、旅に出てもいい時分だからと、次期目的地の火宮の古典を練習していた。


「オリービア!オリビア!どこだ?」

「ジル!どうしたの?!ここよ。」

地上から、ジルの呼ぶ声がして、断崖から応える。

「そこにいたのか。すまんが、ちょっと降りて来てくれ。おまえに客人なんだ。」

私に客・・・?


乱れた髪を手櫛で軽く直し、ジルの住居へむかう。

すぐに中へ通され、軽く客人に会釈し、一番入口に近いところへかけた。


相手は、こちらに笑みから、そばにひざまづき、手の甲に口づけた。

貴族か?


むかし、宮殿に出入りした折、二度ほど、このような礼を受けて久しい。


「ディック=モンローと申します。覇王の代理で参りました。」

彼は申し出る。
ジル、カレンの表情が険しい。